「集水井」は地すべり対策の施設で、集水管等から地下水を排除して地下水位を低下させる事で地すべりの抑止を行っている施設であり、全国に1万基を超える施設があると言われています。近年、施設の老朽化に伴い、ライナープレートの腐食や集水管の閉塞等で地下水の集水機能低下が問題となっており、その機能を持続させるために定期的な点検作業が必須です。
一方、集水井の点検方法としては、人が集水井内に直接入り目視により点検する方法と、専用の点検カメラを用いて地上から点検する方法がありますが、人が直接入って点検する場合には、天井蓋や点検梯子などの腐食による落下事故の可能性のほか、有毒ガスや酸欠などの危険性が伴う事も課題となっていました。
そこで点検業務に携わる民間企業が中心となり、集水井点検専用のカメラを開発しました。その実績として過去6年間に約700基を超える集水井を点検し、更には、平成29年度に国立研究開発法人土木研究所が中心となり、民間企業との共同研究が進められ、その成果は令和元年6月に「地表からの効率的な集水井内点検手法共同研究報告書」として取り纏められています。
このような現状を踏まえて、今後も地すべり等の自然災害から人々の安心・安全な生活を守るため、集水井の状態把握のために行われる点検作業において、共同研究の成果を基に開発された点検カメラの安全で効率的な点検手法の確立と普及、更には会員相互における点検技術の向上と新たな技術開発を目的に、本研究会を設立いたしました。